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「10の姿」を幼児教育に取り入れるときの注意点とは?具体的な実践事例も紹介

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幼児教育の指針として多くの保育園でも取り入れられている「10の姿」ですが、導入するときに気をつけなければならないことは、どのようなものがあるでしょうか?

また、実際の保育の現場で「10の姿」をベースにした幼児教育を行うときは、保育士側が10の姿について十分理解している必要もあるでしょう。そこでこの記事では、文部科学省が掲げている幼児教育における「10の姿」とはどのようなものなのか?という点から保育に取り入れることの注意点まで徹底解説します。

さらに記事の後半では、「10の姿」を取り入れた保育を行うための実践事例もいくつか紹介するので、ぜひ最後までじっくりご覧ください。

1.そもそも「10の姿」とは?

「10の姿」は、文部科学省が掲げている“幼児期の終わりまでに育ってほしい姿”を目指すための教育指針を指します。とくに保育園は、子どもの人間性を形成するために重要な教育機関であるという役割を担っているため、10の姿を正しく取り入れられれば子どもたちがより成長しやすい環境を提供できるようになるでしょう。
文部科学省 資料3 「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」

1-1.保育園・幼稚園・認定子ども園における共通の指針

先ほど述べた「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」という指針は、保育園・幼稚園・認定こども園など、子どもたちが幼児期に過ごす教育機関にとって、重要かつ共通の指針となっています。

ただし、幼稚園の場合は保育園や認定こども園などと比べて、保育ではなく小学校に近い教育も行うため、取り入れることはそこまで難しくないでしょう。しかし、保育園や認定こども園のように「保育」を軸する機関では、保育士全体の意識変化も重要になるため、場合によっては取り入れるのに時間がかかる可能性もあります。

それでも文部科学省が掲げている「10の姿」は、幼児期の子どもたちが正しく成長するために重要な項目ばかりなので、ぜひ実際の保育の現場で実践できるように工夫したほうが良いかもしれません。

1-2.10の姿として掲げられている10個の指標

文部科学省が発表している「幼児教育部会における審議の取りまとめ」で述べられている10の姿は、以下のとおりです。

  • 健康な心と体
  • 自立心
  • 協同心
  • 道徳性・規範意識の芽生え
  • 社会生活との関わり
  • 思考力の芽生え
  • 自然との関わり・生命尊重
  • 数量・図形・文字等への関心・感覚
  • 言葉による伝え合い
  • 豊かな感性と表現

出典:幼児教育部会における審議の取りまとめ|文部科学省

列挙すると多く感じるかもしれませんが、子どもたちを正しく成長させるために必要な項目になります。

1-2-1.健康な心と体

健康な心と体を育てるためには、子どもたちが保育園で生活する中で、「自分のやりたいこと」や「これをやると楽しい」など心と体の充実感を働かせられるような取り組みをすることが重要です。

体を動かすことはもちろん、同時に健康な心を育てることで精神的にも肉体的にも強い子に成長できるでしょう。

1-2-2.自立心

自立心は、小学校や中学校などをはじめ、社会の場でもとても重要な項目です。自ら主体的に人や物事に関わっていけるように指導してあげることが大切になります。

さらに自立心を育てることで、「今自分がやるべきことは何か?」や「諦めずに最後までやる!」のような気持ちを持てるようになるため、自分に自信を持って行動できるように指導することが重要です。

1-2-3.協同性

協同性とは、自分の周りにいる友達や家族などの思いや考えを共有できることを指します。つまり、相手の考えを汲み取って工夫したり、一緒に協力して物事をやり遂げたりできるようになるのです。

これからさまざまな人たちと関わっていかなければならない子どもたちにとって、優先的に身につけておきたい能力と言えるでしょう。

1-2-4.道徳性・規範意識の芽生え

道徳性と規範意識が芽生えることは、今後社会の中で生活していくためにとても重要なことです。とくに小学校や中学校の場合、集団生活による道徳性や校則などさまざまな「決まりごと」を守るための規範意識が必要になります。

したがって、保育を行う中でちょっとしたルールを作り、子どもたちが「ルールは守らないといけない」と考えるように誘導できる工夫をしてあげるのもおすすめです。

1-2-5.社会生活との関わり

社会生活との関わりとは、家族や友達などを大切にしようとする子持ち、自分が関わる相手に対して「何か役に立てないか?」と自ら考えられるようになるために必要な項目です。とくに公共の施設などを大切に利用したり、地域に親しみを持ったりと社会とのつながりを意識できるようになります。

さらに最近では、インターネットの普及によって膨大な情報が世界中に流れているため、どのように手にいれ、活用し、判断できるかという基盤を作るための教育としても重要になるでしょう。

1-2-6.思考力の芽生え

思考力の芽生えは、自分の身近な事柄に対して興味を持ったり、周りの友達の考えなどをもとに自分で判断したりするようになります。さらに思考力は、何か新しいものを生み出すときやアイデアを出すときなどに重宝するため、将来的にも役に立つ能力です。

1-2-7.自然との関わり・生命尊重

保育園の場合、定期的にお散歩や遠足などを通して周りにある自然にふれあう機会があると思います。そのような機会を利用して、子どもたちが自然へ興味を持ち、身近な動植物の生命を尊重できるようにサポートしてあげると、何事にも思いやりを持てる行動ができるようになるでしょう。

とくに人間性が形成される機関である幼児期に生命の尊さを教えてあげることは、保育士の重要な仕事です。

1-2-8.数量・図形・文字等への関心・感覚

保育園内で遊ばせる時に数や形に関心が持てるおもちゃを選んで用意しておくと数量や図形、文字などへの関心を高められます。

例えば、ブロックや積み木、パズル、トランプなどは、数字・図形・文字のすべてを兼ね備えているだけでなく、複数人で遊べるため協同性も同時に育てられるようになるでしょう。

1-2-9.言葉による伝え合い

言葉を通して自分の考えや相手の考えに共感できるようになると、絵本や物語などに親しみを持ちながら言葉による表現を身につけられます。

自分の考えていることや感じたことを言葉で表現できることは、子どもたちがたくさんの人たちと関わっていく中でとくに重要な能力とも言えるでしょう。したがって、絵本や物語に関わらず子どもたちが感じたことを保育士側が積極的に聞いてあげることも重要です。

1-2-10.豊かな感性と表現

豊かな感性と表現では、普段子どもたちが生活する中で感動したことや感じたことを自分なりに表現できるようになることを目指す項目です。

例えば、読んだ絵本に関しての感想や感じたことを言葉だけでなく絵で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりすると、何事にも意欲的に取り組めるようになるでしょう。

参考:幼児教育部会における審議の取りまとめ|文部科学省

2.「10の姿」を保育に取り入れるときの注意点3つ

「10の姿」の実践事例を3つ紹介

ここまでで文部科学省が掲げている「10の姿」におけるそれぞれの項目を詳しく解説しました。しかし、上記に記載した内容をすべて取り入れることはあまり現実的ではないでしょう。

そこで実際に保育の現場で「10の姿」を取り入れるときの注意点を3つ紹介しますので、これから導入を検討している方は参考にしてみてください。

2-1.必ず達成するものではなくあくまでも目安

今回「10の姿」として解説している内容は、あくまでも「教育指針」であることを忘れてはいけません。そのため、どんな状況でも10の姿を参考に教育をしていかないといけないということではなく、幼児教育の目安もしくは理想として捉えておきましょう。

そのため、例えば10の姿を参考にした教育を子どもたちに強制させたり、保護者へ強引に協力を仰ぐようなことは避ける必要があります。10の姿を参考にしながら自然と子どもたちが思考力や協調性、思いやりを身につけられるような工夫を考えることが保育士にとって重要なことです。

2-2.10の姿だけでなく「保育の5領域」も組み合わせる

前述した「10の姿」は幼児教育の指針の一つですが、厚生労働省が保育所保育指針として掲げている“保育の5領域”も組み合わせながら保育を実践する必要があります。また、ここで述べている保育の5領域は、以下のとおりです。

  • 健康
  • 人間関係
  • 環境
  • 言葉
  • 表現

とくに注意すべき点としては、「10の姿」は子どもの成長を軸に考えた教育指針に対し、「保育の5領域」は子どもを預かる保育所に向けた運営指針であるという点です。

内容としては、いくつか被っている項目もありますが、保育士として子どもたちに接する際は10の姿の教育指針と保育の5領域の運営指針を組み合わせたやり方を実践するようにしましょう。

2-3.保護者とも連携しながら実践する

ここまでに解説した「10の姿」や「保育の5領域」は、保育士側が徹底してもなかなか結果に反映されてないこともあります。そのため、子どもたちにとって最も身近な存在である保護者とも保育園としての教育方針を共有し、うまく連携しながら実践していくことが重要です。

したがって、入園した子ども保護者宛に保育園の教育方針などを伝えるためのお知らせを配布したり、連絡帳などを通して情報を共有したりすると良いでしょう。子どもたちの成長には、家庭との連携もかなり重要であることを意識した保育を実践してみてください。

3.「10の姿」の実践事例を3つ紹介

最後に今回解説している「10の姿」を保育の現場で実践するための具体的な事例を3つほど紹介します。理解はできてもどのように実践すればいいのかわからないという方は、以下のイメージで実践すると良いでしょう。

3-1.①1つの物事に対して役割分担させて取り組ませる

1つの事を複数人で役割分担して取り組ませることは、相手の気持ちを汲み取ったり、協同作業による達成感や喜びを感じたりできるのでおすすめです。

例えば、普段は一人ひとりそれぞれ好きな絵を描かせているのであれば、たまに3人1組で普段よりも大きな絵を協力して描かせるのも面白いでしょう。

このようにグループを作らせた状態で、何か課題に取り組ませることは協同性だけでなく、子ども同士のコミュニケーションをサポートする役割にもなるため、かなりおすすめです。

3-2.②折り紙などを使って子ども同士で教え合わせる

子どもは一人ひとり個性が違うため、1人の子ができるものでも他の子ができるとは限りません。そこで、子ども同士で教え合わせるという工夫も効果的です。

例えば、折り紙などは得意な子もいれば不得意な子もいる典型例でしょう。しかし、折り紙が得意な子が不得意な子に対して教えることができれば、教える側は相手に伝わるような言葉選びを自然にできるようになります。一方、教えられる側は教えてもらった言葉を自分の頭で理解しようとするため思考力と理解力を伸ばすことが可能です。

このようにすべてのことに対して保育士が介入するのではなく、子ども同士で解決できるような工夫を保育に取り入れてみると良いでしょう。

3-3.③お題を出して積み木やブロックで表現させる

単に積み木やブロックを使った遊びをさせるのではなく、たまに保育士がお題を出してあげると思考力や表現力を伸ばすきっかけを与えられるのでおすすめです。

さらに積み木やブロックでの遊びは、子ども1人になりがちなので子ども同士のコミュニケーションを促したり、保育園内の雰囲気を盛り上げたりするためにも適しています。

4.「10の姿」の重要性を理解して子どもたちの成長をサポートしましょう!

今回は、文部科学省が掲げている「10の姿」を幼児教育に取り入れるときの注意点を具体的な事例を出しながら解説しました。

前述したように「10の姿」は、あくまでも教育指針であるため、すべてを取り入れる必要はありません。しかし、子どもたちが将来的に社会と関わっていくために必要となる能力を伸ばせるのも事実です。

したがって、保育士は文部科学省が掲げている「10の姿」と厚生労働省が掲げている「保育の5領域」をしっかり理解することはとても重要になります。項目自体は多いかもしれませんが、今回解説した「10の姿」を理解して子どもたちの成長をサポートしていきましょう。

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